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This is it

『ジーザス・クライスト・スーパースター』のクライマックスで、磔になったキリストに向かってユダはこんな風に歌う。
“If you’d come today you could have reached a whole nation. Israel in 4 BC had no mass communication.”

マイケル・ジャクソンが死んだと聞かされたときぼくはこれを思い出していた。キリストは現代に生まれていても同じ目に遭ったんじゃないかと思う。紀元前四年のイスラエルでも、現代のアメリカでも、本当のスーパースターは民衆を導き、利用され、誤解され、殺される。

今、映画”This is it”が公開されて、これまでマイケル・ジャクソンといえば奇矯な人物としか知らなかった人々がそのすごさに触れて驚いていると聞く。二十代の頃にライブでマイケル・ジャクソンのパフォーマンスを体験できたぼくは幸運だったなと思う一方、おまえらの無知と品性のなさが彼を殺したんちゃうんかという憤りも強い。今頃なに言うとんのじゃ。

ライブの疑似体験とでも言うべきこの映画を見ているあいだ、ぼくはそのかっこよさにしびれまくったけど生きていればこんな映画よりもっとすごいパフォーマンスが見られたはずで、きっとその次はもっとすごかったはずなのだ。でもマイケル・ジャクソンは死んでしまった。かくして伝説がこれから始まるのだろう。ぼくはなんかつらくてたまらない。

 
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