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暗闇朗読会@コモンカフェ

暗闇の中で朗読すると普通にやるよりおもしろいのではないかと発案したのは北野勇作だそうだ。「おれの発明や」と北野勇作は胸を張っていたがたしかに真っ暗な中朗読者の顔あたり以外なんにも見えない状況というのは読み上げられる言葉に否が応でも集中することとなってある種非現実的な不思議に濃い空気が生まれる。

おなじみ梅田のモラル無き雑踏に阻まれ約束の時間より少し遅れて中崎町コモンカフェに到着したが、少しくらいは前もって打ち合わせしましょうという予定は対バンの藤原ヨウコウ率いるやみなべブラザースによってすべてパーになる。なんせあまりにやかましくて目の前で怒鳴っても声が聞こえないのである。マイクいらんやろそれそこまでぎゃんぎゃんやらないかんかきみらあたまおかしいんちゃうかなにがふまんやねんなににおこってるんやせつどというものはないのかたいがいにせえよあほやろおまえら。つくづくサキソフォンというのは品のないやかましいものであると認識した。その点トランペットはうるさいとはいえ「どことのう品がある」と言ったのは北野勇作である。「あんなんと違てトランペットはちゃんとした楽器やもん」と言ったのはぼくである。

どういうわけかほとんど満席となってしまっていったいどういう人が来てくれてるのかなあと出演者一同首を傾げる中やみなべブラザースのドラム、キーボード、アルトサックスという編成のフリージャズで会は始まってドラムの近藤久峰すげーと驚き、それに続いて北野勇作が田中啓文のテナーをバックにショートショートを三つほど朗読。さすが役者というか迫力のあるしっかりした朗読であって、しばしあんまりアホでない北野勇作を眺めて感心する。そのあとぼくが「夕暮れの音楽室」という気持ち悪いショートショートをぼそぼそと読みお客さんをどんびきさせたのち詩人平居謙が登場。平居謙はぼくの大学院時代からの友人である。田中啓文のテナーやフジタダイスケのキーボードなどとセッションしつつ「エッチな街路樹が手を伸ばしているーっ」とか「チャオください。食事のときにはチャオください」とか「馬! 馬馬馬馬馬馬ーっ」とか叫んでいく。めちゃくちゃかっこよかった。役者も偉いが詩人もすごい。フリージャズとポエットリーディングのセッションというのはいいなあ。ぼくもああいうのがやってみたい。

その後全員でセッションとなったのだがぼくはインプロビゼーションの経験がまったくないし、みんなが好き勝手やってるのを眺めているのがおもしろかったのでラッパは持っていただけでほとんどなんにも吹かず。でもまあ練習で久しぶりに思いきり鳴らせたのでそれはそれで満足。なんでか金曜ロードショーのテーマ曲とか練習した。

終わってから「夕暮れの音楽室」について、書かれたものを読むより肉声でいやな話を聞かされるとほんまに気色悪いなあといろんな人に言われたのは妙に嬉しかった。子供みたいな可愛い女の子が「あたし怖くて何度か白目剝きましたよ」と言ってくれたのもものすごく勝った気がした。怖いと白目剝く人がおるんやなあ。

いやあおもしろかったなあまたやろなと昨年末の繁昌亭に続いてまたしてもぼくは帰ることをあきらめ居酒屋で三時までだらだらし、残った北野勇作と田中啓文と三人で朝五時までサイゼリアでアホなことを言って過ごす。けっこう飲んで食べて深夜割増料金で三人合わせて千六百円ほど。今度からサイゼリアで飲み会すればええんちゃうのと思いつつ、明らかに早起きでこれから働きにいくちゃんとした人々に混ざって始発で帰る。来てくださった方々本当にありがとうございます。